
今年で23年目を迎える、アジア最大規模の美容展示会「中国美容博覧会(China Beauty Expo)」が上海新国際博覧センターで開催されました。3日間の開催期間中には日本をはじめ台湾、香港、韓国、マレーシア、タイなどのアジア圏のほか、アメリカ、イギリス、イスラエル、スイス、ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、ポーランド、インドなど30ヵ国以上から3,500社の美容商材・化粧品関連企業が出展。1~2日目はバイヤー、3日目は一般客が主な客層となり、3日間で48万1,895人を動員するなど、大きな注目を集めました。今回、計10社ほどの商品を代行し、2ブースにて展示を行いました。その模様をレポート致します。


■日本の出展社数が約8倍に増加
今年は昨年に比べ、約8倍ほどの数の日本企業が出展していました。ここまで出展社数が急増したのは、日本企業が海外および中国への進出に積極的に動き出したこと、また主賓国が日本であったことも理由のひとつかもしれません。そのため、日本パビリオンが盛り上がる一方で、ブースの大小や位置などによっては、なかなかそこまで人が流れてこないといった状況もあったようです。


昨年出展した日本企業によれば、「名刺交換の際に200名程が行列するほど、引く手あまたの状況だった」のが、今年は日本企業の出展の増加により、分散された形となったと考えられます。
■スキンケア業界では日本VS韓国の品質バトル
中国のバイヤーが興味を持つ点としては、ラインナップの豊富さや価格帯はもとより、日本産であること、そして日本独自の成分が使われているなど、わかりやすい訴求が人気を集めていました。「日本の商品は品質が良い」というイメージは相変わらずで、「そのぶん価格も高い」という認識も変わっていないようです。一方で、日本と同じホール内で展開されていた韓国コスメの勢いが凄まじく、日本でいうところの“パケ買い”現象が加熱。容器の形状やパッケージのユニークさなども、目新しいもの好きという国民性にうける理由であるようです。これまでは特にスキンケアにおいては品質を重視するユーザーが多く、日本製が好まれていましたが、韓国でも“ナチュラルコスメ”“自然派”など高品質を謳うスキンケア商品が増加しているので、その点も日本にとっては猛威となるのかもしれません。


■SNSの活用が最大の課題
今回、展示会開催と同時にドラッグストアや百貨店を周るツアーを実施しました。その際に明確となったのは、「消費者が購入する場は店頭ではない」という事実。日本メーカーの商品は店頭では日本価格の約3倍ほどの価格で売られており、さらに店頭に並んでいる商品も大手企業のブランドばかりが目につきました。店頭では、どんなものかを見て信用性を確かめるのが主な目的であること。実際にユーザーが購入するのはWEB上であるということを改めて認識する形となりました。日本で化粧品の爆買いをする中国人の多くが転売目的であることが度々話題になるように、自国の店頭で購入する以外の方法でリーズナブルに手に入る方法も少なくありません。

実際に、メジャーなECサイト上でも日本の化粧品を安く購入することができます。今や「海淘(海外通販)」により買い物をしている中国人は国民の約4割程を占めているといわれています。「Tmall」や「JD」といったモールに出店することも有効ですが、同時に「微博(Weibo)」と「WeChat(微信)」という2大SNSの活用も必須となります。そのため、今回の出展企業の中にはWeChatのQRコードを店頭に貼る等して、WeChat上でのメッセージのやり取りや交渉、購入、決済など一連の作業を行う形をとっている企業も少なくありませんでした。また、日本でもインフルエンサーマーケティングが活発になりつつありますが、それ以上にKOL(Key Opinion Leader)の存在が影響力を持つ中国では「企業発信の情報より、一般人発信の情報の方が信用できる」という背景があるため、“モールに出店→ KOLが発信”といった一連の工程が欠かせないのだそう。実際にブースにKOLを呼んで、生動画を配信したりプチ撮影会を行うシーンも多くみられました。
■まとめ
化粧品で中国進出するためには多くのハードルがあり、諦めてきた企業も少なくないと思います。しかし、越境ECなど中国で売れるための方法には様々な形がある今、展示会はあくまできっかけ作りや、現地の方の反応を見るための機会だと考えて、そこからの展開を戦略的に進めることも得策かもしれません。とはいえ、海外では全く無名の化粧品であるなら尚更、国内外のバイヤーが多く訪れる展示会が海外進出に最も近いルートだということは確かです。近々では11月に毎年香港で開催される、本展示会と同じくアジア最大級の規模を誇る「Cosmoprof Asia 2018」が控えています。ご興味のある方は、是非出展を検討されてみてはいかがでしょうか?
■化粧品海外進出:http://cross-b.jp/retail/
【スタッフより出展報告】
◆全体的な感想
前年参加されていた方々から、今年は日本からの出展が増えているという情報を何度か耳にしました。実際に日本企業のブースも大きく派手であったりと力を入れている様子が伺えます。現地の通訳の方へ商品説明等しっかりとされており、最終的に日本人スタッフ出てきて細かい内容を詰めていくという流れを目にしました。
◆他ブースの状況やPR方法
ムービーやウェブTVでの宣伝を展示会中に行なっているブースもあり、リアルタイムで現地のユーザーの反応をキャッチできたりと、日本とは違ったアプロ―チも多かったように思います。日本よりも情報拡散等に関しては進んでいる感触がありました。プロモーションに関しては、ブース自体の装飾を派手にすることと同時に、製品に関しての知識や現地(中国)で規制のかかっている成分など、その他細かな知識も備えておく必要があると思います。
◆気づいた点
会社やブランドのQRコードが必須になっています。Wechatでのやり取りもそうですが、企業・ブランド説明に関してもすべてQRコードを読み取っていました。名刺にもQRコードが付いているので、次回はブースに設置用のパネル版QRコードとQRコード名刺を用意する必要があると思います。
◆反省点
準備日に装飾や荷物に関するハプニングが多く、中国では頻繁に起こることではありますが、特に海外展示会などの経験がない方にとっては大きなマイナスイメージを与えてしまいす。最大限対応はしましたが、フォローできるスタッフが少なく感じました。通訳には事前に商品内容や中国での販売価格等をまとめた情報を伝えたり、チラシを作成するなどの準備は行ったものの、同行くださる他ブランド様への配慮も兼ねて、次回からは現地入りするスタッフへの十分な情報シェアと準備日から現地通訳の手配が必要だと思いました。

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